『なぜ女は出産すると賢くなるのか―女脳と母性の科学』
キャサリン・エリソン著 西田美緒子訳 ソフトバンククリエイティブ 2005年 1,680 円(税込) ISBN4-7973-3124-0
◆女性の脳は出産・育児で生まれ変わる
ある実験によると、おなかに詰め物をして妊婦に見せかけた女性に対しては、仕事の能率も昇進の適性も低いと見なされる結果が出たそうだ。ピューリッツァー賞ジャーナリストであり、2児の母でもある著者は、子を持つ女性=能力が低いという旧来の偏見に立ち向かい、出産前後の母親の脳の変化にスポットを当てる。
出産前後には、ホルモンや脳内物質が目覚しい働きをし、子育てという新しい経験と学習が刺激となって、脳が再編成されるという。本書では、母親の脳のダイナミックな変化を裏づける研究結果やエピソードを数多く紹介している。
妊娠中や出産後に物忘れがひどくなることを経験する母親も多いが、ある研究者は、「女性の記憶は妊娠中も衰えることは決してない。アインシュタインはよく高額の小切手を置き忘れたというが、記憶力が悪いのではなく、もっと重要なことに没頭していたからにすぎない」と言う。
母親の脳に起こる変化は、脳にとってハンディになるどころか、生涯にわたり大きなメリットになるというのは、これから出産を考えている女性にとっても明るいニュースだ。
子どもを持つことで、さまざまな物事を同時に処理する能力や、仕事への集中力が上がったことを自覚する女性は多い(実際、そうしなければやっていけないわけだけど…)。
また、環境問題や食の安全、医療、子どもをめぐる行政制度など、子を持つ前には感じなかったさまざまな問題に対して行動を起こす母親たちも大勢いる。母親自身が成長と感じているこれらのことが、実は脳の変化による仕業だったとは新鮮な驚きだ。
最先端の脳の研究により、母親なら誰しも実感している母親になることで得られたパワーの源が、改めて科学的に裏づけられた。
(REBRON 三好菜穂子)
オビより
母親の脳は、出産を経て聡明に生まれ変わる。
子どもを持つことは女性の脳にとって大革命!
ピューリッツァー賞ジャーナリストが解き明かす、女脳、母性、出産の不思議
本文より
出産によって母親の脳に障害が起こるという旧来の「マミーブレイン」を信じていては危険な誤解を招く。一部の専門家が指摘しているように、この現象は実はもっと複雑で、しかも私たちを勇気づけてくれるものだ。妊婦と産後間もない母親の脳は、ホルモンの波に洗われて大きな変化にさらされる(第1章より)。
目次
第1章 母親になるって素晴らしい!
母親は世間の思惑よりずっと賢い/子どものせいで母親の脳が縮んじゃう!?/母親の脳には未解明の不思議がいっぱい
第2章 赤ちゃんを産むと生じる女脳の五変化
知覚/能率/回復力/意欲/こころの知能指数―EQ
第3章 女も男も子どもに触れるとどう変わる
子育てパパと利他主義者/母親業はビジネススクールより役に立つ/現代の母親はなぜそんなに知恵が必要なのか?
第4章 母親たちの未来予想図
「マミートラック」を軌道修正せよ/社会を変えたい母親たち/女は出産で生まれ変われる
著者プロフィール
キャサリン・エリソン
1979年、スタンフォード大学コミュニケーション・国際関係学科卒業。サンノゼ・マーキュリー・ニューズ紙、マイアミ・ヘラルド紙の海外特派員を経て、調査報道の記事を手がけるフリージャーナリストとして活躍。1986年には、サンノゼ・マーキュリー・ニューズ紙掲載の特集記事でピュリツァー賞の国際報道賞を受賞した。著書にピュリツァー賞受賞記事をまとめた『イメルダ―フィリピンの不屈の蝶』がある。カリフォルニア州サンフランシスコ郊外のサンアンセルモ在住。2人の息子がいる。
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