『オニババ化する女たち―女性の身体性を取り戻す』三砂ちづる著 光文社新書 2004年756円(税込)ISBN4-334-03266-4
◆豊かなからだの経験こそが、女たちを導いていく
「結婚なんかしなくてもいい」「子どもを産まなくたっていい」「女も経済的に自立していくことが何より大事」
現代の日本には、そんなメッセージがあふれている。親から、社会からのそんなメッセージに囲まれて育ってきた若い世代は、その中で自由を謳歌していているように見える。でも、本当に?女という性別役割の呪縛から逃れて自由に無限の選択肢の中を泳いでいるように見える彼女たちは、本当に満たされてるのだろうか。
フェミニズムの考え方の中で、女たちは意識的に「女であること」を捨て去ってきた。女も男並みに働ける、女も男並に稼ぐことができる、と。しかし、女のからだには「女としての性を生きたい」という意志が依然としてある。生殖への欲望だ。人類の歴史の中で綿々と受け継がれてきた身体の願いに、現代の女たちはあまりにも意識を向けようとしなくなってしまった。これでいいのだろうか?女の体に本来備わっている性と生殖のエネルギーを使わず抑え続けていると、からだにも心にもさまざまな弊害が出てくるのではないか。それが著者の警告だ。
月経、性体験、出産といった女性性と真っ向から向き合うような身体体験。それがもっと大切にされるべきだと著者は言う。そして、その中でも出産こそが女性のからだと向き合う最大のチャンスだ、と。助産婦にしっかりと受けとめられ、自分のからだに向き合ったときに感じる宇宙との一体感は、その女性の人生の核になる。出産とは、それほど豊かな経験になりうるものなのだ。月経のたびに体に思いをはせることや、豊かな性の体験も同じ。からだへの信頼感、自分への肯定感、自然との一体感を得て、女性はぐんと成長していくことができる。
「子を産み育てていくことが女性性の本質で、他のことは取るに足らないこと」「早く結婚したほうがいい」など過激な言葉も並ぶが、それもみな「大事な女性としての身体経験を、仕事やお金と引き換えにしてよいのか」というメッセージだ。これは決してフェミニズムを否定するものではなく、時代の流れに逆行するものでもない。もちろん、女たちを再び家に縛りつけようとするものでもない。捨ててきてしまった身体性を取り戻すことによって女たちはもっと幸せになれるのではないかという、新たな女たちの行方を示すものなのである。
(REBRON 明石千鶴)
帯より
身体は本当は知っている。誰も言わなくなったいちばん大切なこと
目次
はじめに オニババ化とは何か
第1章 身体の知恵はどこへいってしまったのか
第2章 月経を「やり過ごして」よいのか
第3章 出産によって取り戻す身体性
第4章 女性はなぜオニババになるのか
第5章 世代をつなぐ楽しみを生きる
おわりに
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『オニババ化する女たち―女性の身体性を取り戻す』
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