『産んではいけない!』 楠木ぽとす著 新潮社 500円(税込)ISBN4-10-116131-3
◆タイトルを裏切らない痛快なパワーエッセイ
過激なタイトルを掲げた異色の育児エッセイ。出産、育児をよいものだ、人の為すことの中でもっとも大事なことだ、と思っているたくさんの人は「こんなタイトルの本が出るなんて。ああ、嘆かわしい」と思うだろう。
でも内容は、私には「そうだ、そうだ!」と共感することがたくさんあった。子供を育てた者しかわからない苦労、理不尽、頭に来ることが怒濤のように荒れ狂う、胸がすく思いのパワー・エッセイ。「ウソじゃない?」と言いたくなる「よいお母さんもの」より胸を打たれることは確かである。
著者ぽとすさんは、この本を「これって誰が書いたの?‥‥みたいな自動書記状態」で一気に書いたそうだ。さぞかし、スカッとしたことであろう。子供がいかにイライラするものか、家族も世間もいかに助けてくれないかを、ぽとすさんは克明に描き出す。だから女性達よ、うっかり産んでいけない、と同性に呼びかける。
最近はお皿一枚洗ったことがなさそうな人たちが育児支援の政策を打ち出し「社会全体で育児しましょう」なんて言うけれど、実態は、どちらを向いてもみんなこんなに自己中心的で忍耐力がない。それは生々しい現実なのであり、どこかで暴かれたがっている。
こんなに思いをストレートにはき出せるぽとすさんは、きっと素直な人に違いないと思う。現実の子育てでは、けっこう子供との関係も風通しがよく、手間もかけているのだろうと、ときどき言葉端からバレる。
読みながら、どこかに「でもやっぱり、子供が寝ているのを見るとカワイイ」といったフレーズが出てくるのでは、と期待せずにはいられない。でも、ページをめくっても、めくっても、そんなことは書いていなかった。最後まで怒りのツッコミで突っ張ってくれたぽとすさんは、パフォーマーである。
(REBORN 河合 蘭)
目次
序章 今という時代
第1章 人前で言えない本音
第2章 人前でつい口にしてしまうグチ
第3章 子育てをめぐる不安
第4章 経済的不安――とにかくかかります教育費
第5章 少子化なんてくそくらえ
終章 産んではいけない
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『産んではいけない!』
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