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『日本人の子産み・子育て―いま・むかし』 鎌田久子・宮里和子・菅沼ひろ子・古川裕子・坂倉啓夫著  勁草書房 1990年  ¥2,940(税込)   ISBN978-4326798667

◆昔の習俗が見せてくれる日本人の”原・お産観”

日本全国における妊娠・出産についての習俗をまとめ、考察している。いい子が産まれ、育つように、と祈っておこなわれたたくさんの風習は心に響くばかりか、女性、家族、命に対する当時の観念を教えてくれる。初潮や結婚についての章も、現代とかなり違っていて興味深い。むらの一員として生き、神や自然と近く暮らした、かつての母たち。夫たちも、今「夫立ち会い出産」が新しいスタイルのように言われているが、実は昔からお産の場で産婦を助けたり、妊娠期は一緒につわりを経験したりして、結構出産に参加していた存在として登場する。

(REBRON 河合蘭)


内容

いつの時代にも、安産ということは人々の変らぬ願いである。5人の民俗学者、助産婦たちが、日本各地に今なお残る産育習俗をたずね、私たちの祖先の祈りと知恵に学ぶ。戦後、あまりにも管理化されてしまったお産を問いなおすために。

目次

孕む以前(初潮のころ;性を知る;結婚=妊娠)
子産み(つわぶく;腹帯;妊婦と労働;妊娠仲間;たべもの;まじわり;よい子を願う;産みの場;産みの姿勢;安産祈願;トリアゲババ・産婆・助産婦;産みの場の夫たち;産むお産・産ませてもらうお産;へその緒・胞衣)
子育て(産湯;おっぱい;生命を育てる;自立へ)

著者プロフィール

鎌田久子
成城大学文芸学部教授。鎌田久子の古稀を記念して刊行された論文集、「民俗的世界の探求 かみ・ほとけ・むら」鎌田久子先生古稀記念論集がある。この論文集には、「かみ観念の諸相」「ほとけの供養」「柳田民俗学の検証」などをテーマにした論文、18編を収録。

宮里和子
他の著作には、「臨床看護実習教科書」宮里和子 医学芸術社 1993/02 出版  3,107(税別)

坂倉啓夫
他の著作には、「不妊症の治し方(家庭医学選書 ) 卵管・排卵障害、男性不妊、心身症、体外受精、漢方療 」坂倉啓夫 /婦人生活社 1987/06 1,000(税別) 絶版 および 「半陰陽の世界性の原点を探る」坂倉啓夫 /六法出版社 1983/08  3,000(税別)

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日本人の子産み・子育て―いま・むかし (勁草 医療・福祉シリーズ)


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