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『全現代語訳解体新書』 杉田玄白著  酒井シヅ現代語訳 講談社 1998年  ¥840(税込)   ISBN978-4061593411

REBORNコメント

歴史でほとんどの人が習う杉田玄白著の『解体新書』を現代語訳したもの。日本ではじめて人体解剖がおこなわれたのは 1954年(宝暦4年)のこと。それ以来、各地で解剖がおこなわれるようになったが、まだ知識は断片的であった。杉田玄白、前野良沢らがその後3年半の年月を経てオランダ語版『ターヘル・アナトミア』を訳したのが『解体新書』である。発行年月1774年、日本初の人体解剖から20年の歳月が流れていた。

当時の医学書をひもとくことは、当時の医学的知識の状況を調べるときの基本であるが、それでも「全現代語訳」が出版されるのは非常にめずらしい。文庫本でこのような分野の書籍が出版されるのは画期的であると言えるだろう。「陰器篇(生殖器)」「妊娠篇」など妊娠・出産に関連する部分もあって、専門家にはありがたい。

(REBRON 白井千晶)


目次

解体大意篇(解剖学総論)
形体名目篇(形体、名称)
格致篇(からだの要素)
骨節分類篇(骨、関節)
骨節篇
頭、ならびに皮毛篇
唇口篇
脳髄、ならびに神経篇
眼目篇
耳篇〔ほか〕

オビから

日本の遅れた医学を改革しようと、杉田玄白、前野良沢らは西洋の「解剖図」の翻訳に挑戦する。三年半の年月を経て、一七七四年オランダ語版『ターヘル・アナトミア』は『解体新書』として完成をみた。辞書のない時代、「門脈」「神経」など現代も使われている用語を造りながらの難事業であった。本書は、医学界のみならず、その後の蘭学の隆盛に貢献し、日本文化が大きく変容する契機となったのである。

著者プロフィール

酒井シヅ
1935年静岡県生まれ。三重県立大学医学部卒業。東京大学大学院修了。医学史専攻。現在、順天堂大学教授(白井注:発行当時)。主著に『解体新書』校注(日本思想体系第65巻「洋学下」)『松本順 自伝・長与専斉自伝』『日本の医療史』『歴史上の人物、生と死のドラマ』『日本疾病史』など。

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解体新書 (講談社学術文庫)


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