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『いのちはどこからきたの―9歳までに伝える「誕生」のしくみ』 大葉ナナコ著  情報センター出版局 2005年  1,365(税込)   ISBN4-7958-4372-4

◆自分が大好きになる、誰かを大切にできるようになる。そんな性教育を伝えたい。

 体の仕組みや名称、避妊法を教えられるだけの性教育ってなんだったんだろう。性行為についてまず教えられたけれど「愛するとはどういうことか」は教 わらなかった。避妊についてまず教えられたけれど「子どもを産むとはどういうことか」は教わらなかった。自分が学生時代にうけた性教育に、違和感を感じた 方も多いのではないだろうか。

バースコーディネーターとして活躍する著者は、日々の活動の中で「出産観、育児観、生命に対するセンス世代間に伝達される」ということを痛感し、幼稚園から高校生までの幅広い子どもたちに、成長過程に合わせた性教育の授業をするようになったという。

最初に話すのは「誕生」—いのちの話。誕生を知ることによって、自分の命も他人の命も共に尊いことを知り、命への肯定感が育まれてくる。自分は愛さ れて生まれ、今も愛されていると感じられる子どもは、自分の体の変化を楽しみにすることが出来るし、思春期に入っても望まぬ妊娠を避ける感性を身につけて いく。

根っこにあるのは、やはり命への肯定観。性犯罪も、無知ゆえの性感染症も、その結果としての不妊症も、ひとりひとりが「命に対するまっとうなセンス」を身につけることによって、
解消されるような気がする。

性教育の本質にせまり、何をどんなふうに子どもに伝えるのかを、親に教えてくれる貴重な本。読んでいて、何度もうなずいてしまった。巻末にお勧めのブックリストと、親子で一緒に読む絵本「いのちの道」がついている。

(REBRON 明石千鶴)


オビより
ごまかさないで「正しくロマンチックに」語る それは、親から子への最高のギフト
「話さなくていい」から「話したい!」へ変わる新時代の性教育

目次
パート1 「いのちの話」がステキな「ギフト」になる理由
パート2 「食卓」と「性」をつなぐ子育て
パート3 こんなときどう話す?Q&A集
お勧めブックリスト
巻末付録絵本 「いのちの道」

著者プロフィール
バースコーディネーター。18歳〜4歳まで5児の母。出産をきっかけに、妊娠・出産の生理やサポートについて学び、1997年より妊娠前から学べるクラス を開催。2003年バースセンス研究所を設立し、女性やパートナー支援、豊かな出産のための研究・調査、講座企画、商品開発、テレビの出産シーンの監修な どで活躍中。2005年、妊娠出産のしくみと命の大切さに関する知識の教育・普及を行う日本誕生学協会を設立。

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いのちはどこからきたの?―9歳までに伝える「誕生」のしくみ


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