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『赤ちゃんは顔をよむ―視覚と心の発達学 』 山口真美著  紀伊國屋書店 2003年  ¥1,680(税込)   ISBN978-4314009386

REBORNコメント

私たちは、顔の微妙な違いで人を認識して記憶する。だから、名前で覚えている人よりも顔で覚えている人のほうが断然多い。本書によると、赤ちゃんは生後数時間で無数の図形の中から顔の図形を的確に見つけ、母親の顔を見る時間が12時間を超えると「お母さん顔」を好むようになるという。

赤ちゃんの顔の認知メカニズムの発達を、コンピュータグラフィックスを駆使した実験やサルなど他種との比較実験など最新の研究結果をまじえながら解説したユニークな読み物。

人の発達の不思議さを感じるとともに、赤ちゃんとのふれあいがもっと楽しくなりそうな一冊。つい手にとってしまいたくなるインパクトの強い表紙のイラストはラジカル鈴木氏による。

(REBRON 三好菜穂子)


目次

いつからお母さんの顔がわかる?
表情や性別はどう認識している?
「ひとみしり」はどうしておこる?
赤ちゃんの顔をかわいいと思うのはなぜ?
ユニークな実験でここまでわかった、顔を見ることの発達メカニズム――そしてそのうらに隠された、したたかな生存戦略

赤ちゃんの発達には、外界からの刺激が欠かせない。赤ちゃんは、自ら進んで刺激を吸収している。赤ちゃんは外界をぼんやりと眺めているだけなのではない。積極的に顔を見る経験が発達を促し、その結果また顔を見る能力が向上する…赤ちゃんはまさしく「顔をよむ」ことによって発達していくのである。(本書より)

目次

言葉が使えない赤ちゃんは、姿かたちや声や匂いといった感覚レベルで、他人の存在を確かめることになる。この中でも姿かたちは、視覚の進化したヒトにとって最も使われる情報だ。そのため、視覚情報である顔は、大切な役まわりを演じることとなる。赤ちゃんが社会と結びつくための実にさまざまな役割を、顔は果たしているのだ。
これから、顔を通して、赤ちゃんの世界を解明していこう。

目次

第1章 生まれたばかりの赤ちゃんは、「顔」に注目する(生まれたばかりの赤ちゃんが顔に注目する証拠 赤ちゃんは顔の形が好き? それとも目が好き? ほか)
第2章 お母さんの顔はいつわかる? ―生後二日までの発達メカニズム(赤ちゃんはお母さんの顔が好き? 親の姿かたちを学習する―鳥類の場合 ほか)
第3章 赤ちゃんの見る世界、赤ちゃんの住む世界(赤ちゃんのモノの見方を調べる実鹸方法 赤ちゃんの視力はどのくらい? ほか)
第4章 「ひとみしり」がおこる頃―生後六ヶ月以降の発達をみる(赤ちゃんはいつ表情がわかるの?―赤ちゃんの表情にたいする反応と好み どの表情から区別しはじめるのか? ほか)
第5章 赤ちゃんの顔はなぜかわいい?(子どもの顔と大人の顔、何が違う? 子どもの顔のイメージは強い? ほか)

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赤ちゃんは顔をよむ―視覚と心の発達学


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