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『「家族計画」への道―近代日本の生殖をめぐる政治』 荻野美穂著  岩波書店  ¥3,570(税込)   ISBN978-4000224888

◆堕胎、子捨て、避妊、合法的人工妊娠中絶の女性史

避妊や人工妊娠中絶を通して、計画的に妊娠・出産する、出産をコントロールする「家族計画」という考え方がどのように生まれ普及したのか、資料によって丹念に研究した歴史社会学、女性史の学術書。避妊の指導、婦人雑誌や各種広告などのメディア、政策・政治がどのように絡み合っていたのか、女性たちがそれを受け入れたり、抵抗したり、流用したのか、そのダイナミズムが興味深い。妊娠・出産がいかに国家とかかわっているのか。われわれが社会と歴史の中にあることを実感する。

(REBRON 白井千晶)


オビから

ヤミ堕胎や子捨てから、避妊と合法的な中絶へ−。「産む産まないは女が決める」と日本の女たちが言えるようになるまでの長い道のり、そしてその後の問題を、多くの証言を丹念にたどりながら浮彫にする。

表紙裏より

子どもを「つくる」かどうかは計画的に決めるもの、という考え方はどのようにして「常識」になっていったのか。その道筋を、明治期から現代までの言説をたどりつつ考察する。子どもの数を調節するための避妊や中絶という生殖技術をめぐって、国家と、女たち・男たちの価値観・思惑はどのように交錯したのか。同時期の海外での言説にも目配りし、多くの資料を渉猟して描き出す労作。

著者プロフィール

1945年生まれ。奈良女子大学大学院人間文化研究科博士課程中退。人文科学博士(お茶の水女子大学)。現在、大阪大学大学院文学研究科教授。専門:女性史・ジェンダー論

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「家族計画」への道―近代日本の生殖をめぐる政治


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