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『おなかの赤ちゃん』 シェイラ・キッチンジャー文 レナート・ニルソン写真 松山栄吉訳著  講談社  ¥3,675(税込)   ISBN978-4062027946

REBORNコメント

ロンドンで1986年に出版されるやいなや、同年に日本語版が出版された。それから版を重ね、今でも感動を与えるロングベストセラー。
卵子にはじまり、小さな心臓や小さな眼ができて、手や足に小さな指が見えるようになり、小さな爪ができ、お腹のなかでまるくなっている様子、生まれるまでが美しいカラー写真で掲載されている。
お腹のなかをのぞいてみたいという好奇心と、のぞいてはならない神秘・神聖という気持ちのジレンマは決着がつかない。でも、本書を見ることで、妊娠してい る女性しか実感することのできない「お腹の中のいのち」を、パートナーや家族も共有することができるということは、科学によって享受できるプラス面のひと つといえるかもしれない。それはドップラーやエコーと同じだろう。
技術的にはクローン生物がつくれても、人工子宮で生物の誕生まで至らせることはできない現在、「お腹のなか」は、どれほど見ることができてもやはり神秘に変わりはないといえるだろう。
『シーラおばさんの 妊娠と出産の本』でおなじみのシェイラ・キッチンジャー(シーラ・キッツィンガー)氏が文を添える。これから産む人だけでなく、父になる人、きょうだいが生まれる子、医療者にもおすすめの一冊。

(REBORN・白井千晶)


オビより
レナート・ニルソンの驚異的な写真と、詩的で感動的な文章によって、神秘に満ちた生命誕生の過程をドラマチックに描き出す。
妊娠から出産までのおなかの赤ちゃんのドキュメンタリー・ストーリー!


序文より(一部抜粋)

この本は、私たちのだれもがたどってきた旅の記録を、明らかにしたものです。これらは、私たちがほんの瞬間的に記憶している程度か、あるいはまったく覚えていないことです。
母親とその子供にとって、妊娠とはお互いが密着し、親しくくっつき合っている期間ですが、あまり話題に取り上げられず、忘れられてしまわれがちなものです。
この本の各ページは、妊娠に関する心理学者や、エレクトロニクスによる胎児心音の記録や、超音波検査から得た知識を組み合わせて、9ヶ月間の妊娠生活の冒険をもう一度たどってみたものです。


著者紹介
シェイラ・キッチンジャー(文)Sheila Kitzinger
著 名な性教育評論家であり、社会人類学者でもある。カリブ諸国、アメリカ合衆国やアフリカの多数の住民の文化の中で、出産や育児における女性の態度を研究し た。英国では妊娠・出産についてのアドバイザーであり、国際出産協会のコンサルタントでもある。ヨーロッパ諸国、北米、南米、イスラエル、オーストラリア の各地で講義している。『出産の体験』『妊娠と出産』など、著書多数がある。

レナート・ニルソン(写真)Lennart Nilsson
1922 年スウェーデンで生まれた、世界的に著名な写真家の1人。<医学写真のダ・ヴィンチ>といわれている。最初は報道写真家であったが、科学とクローズアップ 撮影に興味を抱いて、アリの生態写真集を出版した。次いで、生物の細部を顕微鏡を用いて研究し、海中の微少動物の世界を記録するために水中撮影の技術を取 得した。1965年に出版したA Child Is Born(日本語『生まれる』講談社、1981年)は、18ヶ国で翻訳され、ベストセラーとなっている。この本と、次いで出版された『人体の驚異』(小学 館、1975年)は、人体の機能について広く一般の読者に知らせるのに役立っている。

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おなかの赤ちゃん


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