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遅ればせながら「少子」を読む 2006/02/07

売れてる本だから、自分で買わなくても誰かがそのうち貸してくれるだろうと、気になりつつもまだ読んでいなかった酒井順子さんの「少子」。三好さん譲ってくれてありがとね。

で、読んでみたら。DINKS気取ってた頃の私なら「そうそうそう!!」と、気合いを込めてうなずくようなことの列挙。当時だったらたぶん爽快感でいっぱいになったことだろう。だけど今は...。

働き盛りゆえ子育てに年月を奪われるなんてとおっしゃる酒井さんが、貴重な時間と才能を使って本一冊書いてまで、子どもを産まない理由を申し述べなくてはいけない、この社会のあり方が、ただただ哀しく、息苦しくなった。

いいじゃん!!ヒトがどんな生き方してたって...。

こういう本が書かれ支持された、そのこと自体が多様な生き方を認めようとしない日本社会のあり方を浮き彫りにし、そしてそれこそが少子化の原因の一端を担っているんだと思うんだけど。負け犬も、オニババも、腐女子も、子どもを産み育てている女の人も、遠慮したり負い目を持ったり何かをあきらめたりしないで済む社会は、作れないものかな。

女性を家庭に戻せば少子化がくい止められると思ってる、そこのエライ人、それじゃホント、この本に出ているデータのように西暦3500年には日本人はひとりになっちゃうよ。

もしかしたら、それでいいのかな?こんな社会、消滅しても???


取り壊された幼稚園 2006/01/31

少子化の影響から、廃園になった幼稚園が徒歩圏内に2つもある。

どちらも子どもたちの声が聞こえなくなって久しく、人の都合でうち捨てられ無人となった建物が発する、無言の抗議とでもいった独特の空気に満ちていた。そばを通りかかるたび、その幼稚園とは縁のなかった私の心の中にまで、その空気は入り込んできたものだった。

それが、近頃ほぼ同時に取り壊された。工事が始まってみるとわずか数日で、敷地にはがれきの山が出来上がった。ぐにゃりと曲がってたがいに絡まり合う鉄骨が、手入れの悪い雑木林の木立を思わせた。

たぶん、あっという間に更地になって、あっという間に小洒落たマンションでも建つんだろう。そこに引っ越してくる家の幼い子たちは、どこか遠くの幼稚園に通うことになるんだろう。あるいは保育園かな。

次々と幼稚園が消えてゆくけど、同じ勢いで保育園が増えている様子は、ない。


豪雪にも食べ物のことを思う 2006/01/23

首都圏にもまとまった雪が降ったこの週末、NHKスペシャルで「豪雪、山里を襲う」という番組をやっているのを見た。

今年は、豪雪地帯と言われる地域ですら、これまで経験したことのない大雪なのだとか。

雪下ろしの体力もなく、雪の重みにきしむ家に住む恐怖にじっと耐える一人暮らしのおばあさん。隣の家にいくのがやっとという状況の中、電話が通じない孤独にじっと耐える一人暮らしのおばあさん。過疎、高齢化、普段あたりまえのようにその恩恵にあずかっているインフラの弱さなどが、番組を見るものにこれでもかと突きつけられる。

が、印象的だったのは、「老人には保存食があるけど、若いものは保存食を作らないから食べるものがなくなって...」というくだり。昔ながらの豆炭のこたつで暖をとり、自家製の野菜を充分ストックし、麹漬けの魚などの保存食をしっかりと用意している老人たちの生活は、いつもより多い雪にも実は揺るがないものだったのだ。

自分の食べるものを自分で作るというのは、なんという強みか。こうした生活を捨て、故郷を捨て、都市生活の便利さを選んだ私たちは、ほんの少しいつもと違う状況に陥っただけで、たちまち食べるものがなくなって悲鳴をあげてしまうのだけど。

行政に、地区をあげての移転を提案されるが、結局、残ることにした人々。一冬あければ、その家はもう住めない状態になる。それは、地区の消滅を意味するのだという。








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