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プロフィール |
黄色い蝶々 | 2005/09/14 | |||
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草むらで、じっとしていた黄色い蝶。エニシダの花みたいな強烈な黄色。息子が帽子でそっとすくい上げると、まんまとその中に入ってくれた。 水を張った鉢でも捧げ持つように、帽子を胸の前に持ってそろそろと歩き始めた息子。とはいえ、いくらなんでも大人しすぎるぞ、この蝶々。 「つかれてやすんでるのかなー」「○○ちゃんのことすきなのかなー」。逃げて行かない蝶に、息子もびっくりした様子だ。 そのまま保育園に連れて行くのかと思ったら、途中で蝶の羽をそっとつまんで帽子から出し、空に放った。だが、蝶は飛び立つことなく息子の足下に力無く着地した。 「弱ってるんだね。もうじき死んじゃうんだよ。」と私。息子は「ここじゃだれかに踏まれちゃう」と言って、歩道の真ん中の蝶をもう一度つまんで植え込みに移動させようとした。 が、地面に伏せられた小さな蝶の羽をつまむのは、幼い子には難しいようだった。ぎこちなく羽を触るうち、息子の指は黄色い鱗粉で染まり、蝶の羽はちぎれてぼろぼろになってゆく。やっとどうにか目的地に移し、息子は納得がいったように保育園に向かった。 息子を送ったあと、来た道を引き返すと、歩道の真ん中で動かなくなっている黄色い蝶の姿があった。やがて蟻か風が、その体をどこかに運び去るんだろう。次の世代を残すためにせっせと生きて、役目を終えたら潔くいなくなる。 これでいいのだ。 |
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どんぐりの宅急便 | 2005/09/09 | |||
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大きな台風が去って、最後の力を振り絞って鳴いていた蝉の声も、今朝はめっきり聞こえなくなっていた。蝉の声に誘われて、保育園に登園する道すがら、あちらの木こちらの茂みと立ち寄るのに忙しかった息子の興味は、この一日でがぜんどんぐりに移行した。 まだ青々した小粒の帽子付きのが彼のお気に入りで、「おぼうしどんぐり」とか勝手に命名し、どこかに落ちていないかと一生懸命探している。おぼうしどんぐりは逆さまにするとおふろどんぐり、横に寝かすとおひるねどんぐりに変身するんだそうだ。ポケットにどんぐりを詰め込めるだけ詰め込んで意気揚々と登園すれば、彼はたちまち人気のどんぐり屋さんになるらしい。 どんぐりでぎちぎちのポケットを「ぽっけがお財布みたいになっちゃった。」だって。お札じゃなく、小銭で膨らんでいるお財布しか知らない不憫な息子よ。 真夏のうちは保育園までの道のりを、日陰が多くてしかもなるべく短いコースを選んで歩いたものだったが、しばらくはどんぐりが落ちていそうなところを探し求めて親子でさまようことになるだろう。これからは早起きしなくっちゃな。 今朝はマテバシイの実を発見。香ばしく煎れば、夫が愛する立派なビールのおつまみになる。「おとうさんにプレゼントしよう」と、息子とふたりでたくさん拾った。 昨晩作った常備菜と一緒に宅急便に詰めたどんぐりは、この週末の夫のお楽しみになることだろう。 |
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